検査結果の判定は、環境省水浴場水質基準を基に判定しています。
判定については、下記の表に基づいて以下のとおりとします。
(1)ふん便性大腸菌群数、油膜の有無、COD又は東名とのいずれかの項目が「不適」であるものを「不適」な水浴場とします。
(2)「不適」でない水浴場について、ふん便性大腸菌群数、油膜の有無、COD及び透明度によって、「水質AA」、「水質A」、「水質B」あるいは「水質C」を判定し、「水質AA」及び「水質A」であるものを「適」、「水質B」及び「水質C」であるものを「可」とします。
・各項目の全てが「水質AA」である水浴場を「水質AA」とします。
・各項目の全てが「水質A」以上である水浴場を「水質A」とします。
・各項目の全てが「水質B」以上である水浴場を「水質B」とします。
・これら以外のものを「水質C」とします。
このことから、判定の見方はCODと大腸菌、油膜の有無と透明度の全てが水質AA(適)の基準に適合した場合は、水質AA(適)です。一方、CODが5mg以下(水質B(可))で大腸菌は検体100mlにつき検出せず(水質AA(適))、油膜は無く、透明度は全透の場合は水質B(可)と判定します。
つまり、いずれか一つ以上のランクが低い場合はランクの低い判定をすることになります。
ふん便性大腸菌群 | COD | 油膜 | 透明度 | ||
適 | 水質AA | 検出せず |
2mg/l以下 (湖沼:3mg/l以下) |
油膜が 認められない |
全透 (又は1m以上) |
水質A | 100個/100ml以下 |
2mg/l以下 (湖沼:3mg/l以下) |
油膜が 認められない |
全透 (又は1m以上) |
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可 | 水質B | 400個/100ml以下 | 5mg/l以下 |
常時油膜が 認められない |
1m未満 50cm以上 |
水質C | 1000個/100ml以下 | 8mg/l以下 |
常時油膜が 認められない |
1m未満 50cm以上 |
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不適 | 1000個/100mlを超える | 8mg/l以下 |
常時油膜が 認められる |
50cm未満(※) |
(注)判定は、同一水浴場に関して得た測定値の平均による。
透明度の(※)に関しては、砂の巻き上げによる原因は評価の対象外とすることができる。
ふん便性大腸菌群について、環境衛生検査票に記載されている大腸菌を環境省水浴場水質基準のふん便性大腸菌群とみなして検査結果の判定をしています。
これは、本検査の大腸菌も環境省水浴場水質基準のふん便性大腸菌群もふん便由来の大腸菌であることが前提で検査(目的や方針が類似)していること、本検査は水浴場及び遊泳者の衛生に重点が置かれているため、最近の衛生指標での判定が望ましいこと、海外での検査実績があり、ウォータースポーツの競技内容や会場によっては大腸菌の判定が指定されているといった理由があるためです。
また、環境省水浴場水質基準に記載されていない項目(水素イオン濃度(pH)、塩化物イオン、アンモニア性窒素、亜硝酸性窒素、腸球菌)については以下の基準を参考に判定しています。
①pH:環境基本法による環境基準(生活環境の保全に関する環境基準)の海域(項目類型A)による。
②塩化物イオン:海水については、基準値は設定されていません。ただし、海水で極端に塩化物イオンの濃度が低い場合は、汚水の流入を意味する判断材料の一つとなります。
③アンモニア性窒素:公衆浴場法及び旅館業法で規定されている浴槽水のうち、旅館業による。
アンモニア(NH3)やアンモニウムイオン(NH4+)の形で存在する窒素で、し尿や生活排水などによる汚染の一指標となります。公衆浴場法及び旅館業法で規定されている北宋水のうち、旅館業(ホテルや旅館)の浴槽水が基準の対象ですが、海水浴シーズンで不特定多数の海水浴客がいること、アンモニアやアンモニウムイオンは弱い毒性があることを踏まえたうえで、保健衛生上の危害の防止に役立つアクションが必要と考えられます。したがって、本検査では検査項目として採用しました。
④亜硝酸性窒素:水道法による。
水道法による水道水が対象ですが、汚染だけでなく、亜硝酸性窒素を含む水を誤飲などで体内委に入った場合、体内に吸収された亜硝酸は血液中のヘモグロビンと反応してメトヘモグロビンとなり、酸素を運搬できないため、これが体内で過剰になると酸素欠乏状態となるメトヘモグロビン血症による毒性と胃がんをはじめ、消化器系がんへの危険性があると言われています。本検査ではこれらの毒性やリスクを避けるためであると同時に、アンモニア性窒素が陽性であることは亜硝酸性窒素を含有するものと考えられ、し尿や生活排水などによる汚染指標となるため、検査項目として採用しました。
⑤腸球菌:ブルーフラッグ認証(海岸の国際認証)の取得および更新の水質基準又は国際トライアスロン連合(ITU)スイム会場の基準による。
基準値は同一ですが、検査する水質がトライアスロンのスイム会場である場合は国際トライアスロン連合のスイム会場の基準を優先します。
※環境省水浴場水質基準に適合(遊泳可)していて、環境省水浴場水質基準に記載されていない項目が不適合である場合の判定については遊泳することが想定される人の健康状態やけがの有無など、コンディションや不適合の検査項目のリスクに応じた条件付きの遊泳可と判定をします。